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「安くてうまい」、不況に強いはずの牛丼が売れない。2001年のデフレ宣言時には時代の申し子として売り上げを大きく伸ばしたのに、今年は不振が続いている。値下げに踏み切る店も現れた。小遣いが減るサラリーマンを狙った安価なコンビニ弁当など、ライバルが増えたせいもあるようだ。 牛めし並盛りを、380円から320円に。チェーン大手・松屋が値下げを始めた3日午後、東京・新宿の新宿3丁目店に、東京都西東京市の男性会社員(40)が訪れた。 以前は週に1回は牛丼を食べていたが、現在は月1回程度に減ったという。「前回いつ牛丼を食べたか思い出せないくらい。同じ値段でどうせ食べるなら、定食などの方が満足できるから。牛丼だけではもの足りない」 松屋では、新規出店を除いた既存店舗だけで比べると、今年5月から10月まで6カ月連続で前年実績を下回った。吉野家でも、3月から8カ月連続。すき家では2月から9カ月連続で不振が続く。 前回政府がデフレ入りを宣言した01年は、吉野家が夏に牛丼の並盛りを400円から280円まで値下げ。各社も競って同様の値下げに踏み切った。吉野家は01年度、売上高、営業利益とも過去最高を更新した。 しかし、今は並盛りで300円台が相場。牛海綿状脳症(BSE)騒ぎを経て06年に輸入が再開された後も、米国産牛肉の流通量が少なく取引価格の高止まりが続いているためだ。なのに、「消費者には200円台の安い時のイメージが残っている」(松屋フーズ広報)。同社が値下げに踏み切ったのは、これが今の不振の最大の理由と見たからだ。 すき家でも今月7日までの期間限定で、並盛りを299円まで下げている。ただ、吉野家は「すでに無駄なコストは切りつめており、当面は値下げはしない」としている。 吉野家では「コンビニや百貨店などの安価な弁当の影響を受けている」(広報)とも分析する。軒並み200〜300円の安価な弁当が増え、今や、牛丼の最大のライバルとなった。さらに、近年好調な「餃子(ぎょうざ)の王将」やラーメンチェーン「日高屋」など、安くてメニューが豊富な業態の店も執に登場。01年のデフレ時に比べ、圧倒的に競争が厳しい。 実は、最近10年で外食市場は、4兆円近く縮んでいる。市場調査会社の富士経済の上田周作さんは「01年ごろは牛丼はハンバーガーと並んでデフレの時代を牽引(けんいん)するプレーヤーだった。だが今では、ワンコインで満足できる店が増え、牛丼でさえ、消費者が高く感じてしまう時代背景がある」と指摘している。(湯地正裕)
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